恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
ほかに生ハムとチーズのカルパッチョやスナップエンドウとインゲンのカプレーゼなどもカウンターに並び、一樹が「遠慮しないで食べて飲め」と勧める。
「はい。では、いただきます」
カクテルで喉を潤してから食べた生ハムは、梓の口に入った途端、なんと舌の上で溶けて消えた。
「おいしいです。社長も召し上がってください」
梓が皿を滑らせると、一樹がじっと視線を注ぐ。
「一応は婚約者なんだから、〝社長〟じゃなく名前で呼ぼうか」
「お名前でですか!?」
つい声のトーンが上がった梓の唇に、一樹が「しー」と人差し指を立てる。かすかに指が唇に触れて、ドキッとさせられた。
「それから、そのガチガチの丁寧語もやめようか」
呼び方も言葉づかいもダメだしされ、梓は言葉に詰まった。
瞬きを繰り返し、一樹を困ったように見つめる。