恋の餌食 俺様社長に捕獲されました
「一線を引きすぎて、らしく見えないだろう?」
「それはそうかもしれませんが……」
社長を名前で呼ぶ芸当が、自分にできるのだろうか。そのうえ、もっとくだけて話せとは。
困惑している梓に一樹が顔を近づける。反射的に離れようとしたが、一樹に肩を抱かれた。
「三島が来てるから、それらしくして」
なんとラウンジに友里恵がいるという。
梓が店内を見渡そうとすると、一樹は「見るな」と梓の頬に手を添えた。思いがけず顔が近づき、ドッキンと鼓動が弾む。
「ほら、呼んでみて」
誘うように囁かれ、自分を見失いそうになる。緊張と興奮と、あとはなんなのか。とにかく梓の頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「……一樹、さん」
かろうじて呼んだ途端、頬がカーッと熱くなる。たったひと口飲んだアルコールのせいだけではないだろう。