不思議の国のティーパーティー



「お嬢様!こんなところに来てはいけません!」


忘れていた。

そこには鬼の形相をしたアオイがそう叫んでいた。



「早く帰りましょう」


アオイがあたしの手首を掴み、無理に連れ帰ろうとする。


「痛いよアオイ…」


「姫様を連れていかないで!明日も来るって約束したの」

「そんなっ約束までは……」



泣きそうな声で叫ぶのはねずみのソラ。



しかし、申し訳ないがその言葉は否定するものだった。



毎日退屈で、つまらなくて。

楽しい時間を作ってもらっても、どうせ退屈な毎日に戻るのを知っていたから、楽しい時間もつまらなくなっていた。



だけど、今日は誕生日。

少しでも笑っていたかった。



誰もあたしのことを祝っていないあたしのバースデーパーティーよりも、勝手に森で開かれている主役なしのバースデーパーティーの方が何倍も、楽しかった。

退屈を、忘れられた。



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