不思議の国のティーパーティー



「アオイ待って。明日と明後日もなんて言わないから。今日だけ、今日だけこのお茶会に参加させて欲しい」

「いけません」

「お誕生日だけのわがままを。お願い。聞いてください」


真っ直ぐ瞳を向けるも、アオイには届かなかった。



「お嬢様、いけません。戻りましょう」


諦めて腕の力を緩める。



アオイが掴んでいた手首が赤くじんわりと痛む。



「姫様行っちゃうの?明日も来るよね?」



五月うさぎが耳を垂らして言う。



「ごめんなさい。もう行けそうにないわ」



言って背中を向けた時、ずっと黙っていた時計屋が口を開いた。



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