不思議の国のティーパーティー
「なっ……」
折角冷やした顔がまた赤くなるのが分かる。
「なんでそうなるのよ!」
つい受け取った本でアオイを叩きそうになるが、それをひょいっと避け、距離はいつもの一定の位置に戻った。
少しだけ安心した。
が、心臓の高鳴りはすぐには治まらない。
「冗談ですよ。それで呪いが解けたとしても、きっと今度は女王様の怒りを買って、国から追放ですね」
「ふふっ」とアオイが笑って言う。
なんだかいつもより少しだけ楽しそうだ。
「もっと根拠のある方法を探しましょう。わたしはこの国の歴史書を端から見ていきますね」
言って歴史書のある棚へと向かうアオイの背中を目で追った。
未だ手の中にある青い本。
あたしはそれをぎゅっと胸に抱えた。