夢物語
 「さっき散々ネタにしてたじゃないですか。俺がトロフィーコレクターだって」


 「ああ、そんな話題もあったような気がする」


 二次会の席で、そういえばそんな話題になった。


 成功した男が糟糠の妻を捨てて、ゴージャスな若い美女を新たに妻に迎える……それがトロフィーワイフ。


 西本くんのパターンも、それだって。


 みんな笑いながら決めつけていた。


 「もしかして覚えてないとか?」


 「いや、何となくは覚えてるけど」


 「俺、結構ショックだったんですよ。冴香さんにあざ笑うような目で見られて」


 部屋の中に彼女がいるのを恐れて、玄関付近で歩みを止めたまま立ち話をしていた。


 トロフィーワイフがどうだとか、私がそれをバカにして笑っていただとか……どうでもいいような内容。


 ただ。


 じっと私を見据えるその眼差しから、逃れられない。


 金縛りにあったように動けなくなり、話題を逸らすための言葉を必死で探していた。
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