夢物語
 今回は松元さんの車で送ってもらえて、とても助かった。


 まずは西本くんを自宅まで送り届けなければ。


 「……何階?」


 「五階」


 エレベーターのボタンを押すと、程なく降りてきてドアが開く。


 西本くんを抱えるように乗り込み、「5」のボタンを押し、五階へ到達。


 「鍵の準備しておいて」


 五階の廊下に降り立ち、西本くんの部屋である506号室へと向かって進む。


 深夜のマンションの廊下は静寂に包まれ、足音が響く。


 近所迷惑を懸念して、なるべく物音を立てないように気を付けながら506号室へと向かった。


 崩れ落ちないよう体を支えているため、かつてないほどに互いの熱を感じながら。


 「……私、代わろうか?」


 キーホルダーの鍵を持つ手がおぼつかないので尋ねたけれど、鍵が複数あるため部屋の鍵がどれだか解らなかったため、そのまま西本くんは鍵穴に悪戦苦闘。


 ようやく扉が開く。


 真っ暗な室内へと至る。
< 99 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop