お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
初めて、サーシャの気持ちを聞いた。
王子と結婚すれば家が安泰だとか、玉の輿だとか、親の期待とか。そんなことを抜きにしても、サーシャはヴィクトル様と結婚する意思があるらしい。
それなら、もう迷う必要もないだろう。
「よし!お姉ちゃんに任せなさい!」
「えっ…!ど、どうするつもり…?」
「決まってるわ。サーシャに変装してパーティーに戻るのよ!」
「ええっ!今から…?!」
驚きを隠せないサーシャ。
だが、じっとしてもいられない。
今日、サーシャは王子の誘いをバックれて帰ってきてしまった。うまく取り繕うには、すぐにでもパーティーに戻って挨拶をする他ないのだ。
「でもっ…!もしも誰かにバレたら…」
「平気よ!だって…」
私は、ぎゅっ!とサーシャに抱きついた。
ぴったりとくっつく頰。
鏡に映った二人の顔は、どこからどう見ても 同一人物である。
「…ね?私たちは運命共同体だもの。きっと、この容姿も性格も、サーシャを守るためのものだったのよ。」
「…お姉さま…」
くいっ!とサーシャの涙を拭う私に、やっと笑顔を見せた彼女。
お互いの服を交換し、袖に腕を通す。
ドキドキとした高揚感と緊張。そして、ギリギリのスリルを味わうような痺れが体に走った。
着替えを終え、髪をセットした鏡に映った私はまさにサーシャそのもの。きっと気づく者はいない。
(これはいける…!見てなさい!私の大切な妹を泣かせたことを、後悔させてあげるわ…!)
ーーと。
どこから来るのか分からない自信を胸に、ガチャっ!と部屋の扉を開けて出ようとした
その時だった。