お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
かぁっ!と怒りに頬を染めた令嬢たち。
予想外の皮肉たっぷりな反撃に、返す言葉もないようだ。
「まだ、何か?」
『何でもないわよ!』
ふんっ!と踵を返して去っていくいじめっ子令嬢軍団。
その背中に、湧き上がる勝利の喜び。
「ねぇ、アレン。私、上手くやれていたかしら…?」
「えぇ。どこからどう見ても“悪役”でしたよ。」
「えへへ…」
(喜ぶな喜ぶな)
アレンが、褒め言葉ではありません、と言わんばかりに目を細めたが、目論見通りライバルを撃退した私は、その余韻に浸りながらアレンに尋ねた。
「それにしても…。あれだけで帰してよかったの?後から倍返しで復讐されるような気がするんだけど…」
「えぇ。はじめは中身がどうであれ、只者ではないと思い込ませることが大事なのです。人は勝手にイメージを抱き、その幻影に振り回されて疑心暗鬼になりますから。本性がしたたかであればあるほどね。」
確信犯の笑みを浮かべるアレンは、次の一手を思案するように腕を組む。
コイツを敵に回してはいけない…と、密かに眉を寄せた私だったが、その時、ふと背後から鈴のように可愛らしい女性の声がした。
「あの…っ、大丈夫ですか…?」