お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
振り返ると、そこにいたのは小柄な一人の令嬢だった。
キッチリとセットされたブロンドの縦ロールにシンプルなリボン。まるでお人形さんのような華奢なシルエットに、思わず見惚れる。
「あの…、ハンスロット家のサーシャお嬢様ですよね…?」
「えっ!あっ、そ、そうよ!」
うっかり、一瞬自分がサーシャに化けていることを忘れかけていた私は、その言葉にぴくり、と背筋を震わせる。
アレンは、第二の刺客か…?、とばかりにまつげを伏せたが、彼女の口から飛び出したのは思いもよらぬ明るい声だった。
「わっ、私はモニカと申します!社会勉強のためにこのパーティーに参加して、先程から一部始終を拝見しておりました…!なんて凛々しい方なのでしょう!あのお嬢様たちには怖くて近寄れなかったのですが、サーシャ様の毅然とした姿に感動しましたわ…っ!」
「へっ?!」
キラキラと紫紺の瞳を輝かせるモニカ。
憧れの対象とでも言わんばかりに私を見上げる彼女は、純粋な箱入り娘と言った感じだ。
どうやら、私といじめっ子令嬢軍団のやり取りを陰ながら見つめていたらしい。
アレンも、敵意を感じられない彼女に警戒を解いたようで、すっ、と肩の力を抜く。