お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
(なんだ。ちゃんと、お金持ちの世界にもいい子はいるのね。この子だったら、本物のサーシャの良き友人になってくれそうだわ。)
少し興奮気味で、ぺらぺらと賞賛の言葉を口にするモニカ。穏やかな表情で見つめていると、やがて、はっ!と目を見開いた彼女は照れたように頬を染めて呟いた。
「ご、ごめんなさい!私ったら、初対面なのに…」
「いいのよ!嬉しいわ。サーシャにも紹介したいくらい…」
「え?」
「いや、こっちの話よ!」
つい、口を滑らせた私をアレンが睨む。慌てて取り繕うと、モニカは少し緊張したようにはにかんだ。
「よろしければ、私とお友達になってくれませんか?…その…、サーシャ様とはずっと話してみたいと思ってて…」
「私と?」
「えぇ。サーシャ様は会場の雑踏に紛れていても目を惹くほど麗しいお方ですし。あのヴィクトル王子が選んだお方が、どんな女性なのか気になっていましたので…」
私は、ぎゅっ!とモニカの手を取った。
目を見開く彼女に、私は満面の笑みだ。
「もちろんよ!よろしくね、モニカ!」
「う、嬉しいです…!私と友達になってくれるだなんて、サーシャ様はお心も広いのですね…!」
「もうっ!サーシャ様なんて堅苦しいわっ!呼び捨てでいいわよ!敬語だってまどろっこしい…」
その時、くいっ、と肩を引かれる。
背後から低く耳打ちするアレンは、少々目が怖い。
「お嬢様。サーシャ様はそんな人生はノリ的な距離の詰め方はしませんよ。」
「そうでした…!」