お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
レーヴェンというのは、我が国で牛や豚のように広く家畜として育てられている食用の獣だ。その肉はヘルシーな上に柔らかくて、家庭料理から王宮料理まで幅広く使用されている。
すると、アレンはわずかにまつげを伏せて呟いた。
「確か、以前お嬢様の夕食にレーヴェンのシチューを作った時、レーヴェンには独特の臭みがあり、それを消すためにアメルの葉を使用した覚えがあります。」
「あぁ!ウチの屋敷の庭にも生えている、とっても苦い葉っぱね!昔、食べられる薬草と間違えて、散々な思いをしたわ。」
「拾い食いはおやめください。」
即座に苦言を呈したアレンだが、何かを考え込むように腕を組み、やがて歩き出す。
「すみませんがお嬢様。所用で少々お側を離れます。くれぐれも、ボロが出るような真似はしないでくださいね。」
「えぇ、わかったわ!心配無用よっ!」
ぶんぶんと手を振る私に、目を細めたアレン。
信用する気は無いらしいが、所用とやらを優先し、彼はスタスタと会場から去っていく。
(一体、何の用事なのかしら?…まぁ、あのアレンのことだから、きっと考えがあるんだろうけど…)