お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
鼻をつく痛み。
じんわりと込み上げる涙。
口の中に広がったのは想像していた甘みではなく、味覚すら壊れるほどの痛みだった。
カシャン…!
つい、手にしていたフォークが床に落ちる。
その音と叫び声に、辺りで談笑していたゲスト達の視線が、一斉にこちらに集まった。
『あら?どうしたんですの、サーシャさん。そんな涙目になって…』
「けほっ!けほっ…!」
むせ返って言葉が出ない。
ただ、この瞬間、はっきりした。
私の態度に、焦りも驚きもしない令嬢達。さらに、あろうことか、くすくすと笑っている始末。
(はめられた…?!)
つい、カッ!となった私は、思わず彼女達に向かって詰め寄った。
「貴方達、このケーキに何か細工をしたわね…?!」
『まさか…!何をおっしゃるの、サーシャさん。言いがかりはよしてちょうだい。』
「とぼけないで…!普通のケーキが、こんなに辛いはずがないじゃない!」
『あら、私たちのせいだって言うんですの?自分でケーキに細工をしておいて、私たちに罪を被せて貶めようとするなんて、ひどいですわ…!』
(なっ…!)