お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。

鼻をつく痛み。

じんわりと込み上げる涙。

口の中に広がったのは想像していた甘みではなく、味覚すら壊れるほどの痛みだった。


カシャン…!


つい、手にしていたフォークが床に落ちる。

その音と叫び声に、辺りで談笑していたゲスト達の視線が、一斉にこちらに集まった。


『あら?どうしたんですの、サーシャさん。そんな涙目になって…』


「けほっ!けほっ…!」


むせ返って言葉が出ない。

ただ、この瞬間、はっきりした。

私の態度に、焦りも驚きもしない令嬢達。さらに、あろうことか、くすくすと笑っている始末。


(はめられた…?!)


つい、カッ!となった私は、思わず彼女達に向かって詰め寄った。


「貴方達、このケーキに何か細工をしたわね…?!」


『まさか…!何をおっしゃるの、サーシャさん。言いがかりはよしてちょうだい。』


「とぼけないで…!普通のケーキが、こんなに辛いはずがないじゃない!」


『あら、私たちのせいだって言うんですの?自分でケーキに細工をしておいて、私たちに罪を被せて貶めようとするなんて、ひどいですわ…!』


(なっ…!)

< 27 / 164 >

この作品をシェア

pagetop