お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
ざわざわと騒がしくなるゲスト達。
令嬢達の演技に乗せられて、私が言いがかりをつけたと思い込んでいるようだ。視界の端には、戸惑うような表情を浮かべるヴィクトル王子が映っている。
(まずい…!このままじゃ、サーシャの株は大暴落だわ…っ!)
しかし、このピンチを切り抜けようにも、周りは全員令嬢達の味方。モニカも、不安げに私を見つめている。何も、反撃の一手が思いつかない。
ごめんなさい、サーシャ。
貴方を助けるために来たつもりが、こんなことになるなんて…!
(もう、どうしようも出来ないの…?!)
…と、ぎゅっ!と拳を握りしめ、瞳を閉じた
その時だった。
「お嬢様。まだ終わってはいません。」
(え…?)
聞き慣れた艶のある声が耳に届いた。
視線の先には、いつもと変わらない琥珀色の瞳。
「さぁ、お嬢様のために紅茶をご用意して来たのです。まずはこちらでお口直しをしてはいかがです?」
アレンが手にしていたのは、各テーブルに置かれているのと同じティーポット。
彼の所用は、補充用の紅茶を取りに行くことだったのだろうか?