お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。

と、その時。

ふと、応接室に案内していた彼の姿が頭をよぎる。危うく、すっかり忘れてしまうところだった。


「…あ!そうだ、アレン。一人、応接室に通したお客さんがいるの。」


「お客さん?」


「うん。町で偶然会って、ウチに用事があるっていうから案内してきたんだけど…」


彼らと共に応接室へ戻る私。


と、メロンを抱きかかえたアレンが扉を開けたその時。こちらに視線を向けたコートの彼が、ローズピンクの瞳を大きく見開いた。

同時に、薔薇色の瞳を輝かせたダンレッドが、ぱぁっ!とワンコのような笑みで声を上げる。


「メル…!やっぱり来てくれたんだね!!会いたかったよ!!!」


(え…っ!!)


“メル”

そう呼ばれた彼は、ソファに駆け寄るダンレッドを「ちょっと…っ、距離感馬鹿…」とあしらっている。


(メルさんって、この男の人のことだったんだ…!!)


てっきり相手は女性だと思い込んでいた私は、再会に、嬉しさ百二十パーセント、といった様子のダンレッドを見つめ、ぱちぱちと瞬きをしていた。

< 51 / 164 >

この作品をシェア

pagetop