お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。
すると、その時。アレンは、ぱっ!と私の肩を掴んだ。
突然の動作に目を見開く私をよそに、彼は凛とした声で言い放つ。
「実は…メルさんに、お嬢様の教育係になって頂きたいのです。」
「はい?!!」
上ずった声をあげたのは、私だ。
思いもよらない提案に言葉を失った様子のメルさん以上に、何も話が見えない。
「ちょ、ちょっとアレン!一体、どういうこと?!」
慌てて彼を見上げると、アレンは冷静な声で私に答えた。
「お嬢様は、サーシャ様になりすましてパーティーに潜入し、見事、サーシャ様をいじめたライバル令嬢を懲らしめたでしょう?そして、また、今後もそのような機会があれば、サーシャ様の代わりにまだ見ぬ強敵を打ち負かしていく必要があります。」
「あ、えっと…、たしかにそうね。」
「ですが、それに際し、お嬢様には決定的な欠点がございます。」
「欠点?」
私が、きょとん、と首を傾げた、その時。
容赦のないアレンの一言が、私の胸を突き刺した。
「お嬢様は、教養と落ち着きが著しく欠如しています。つまり、完璧なお嬢様であるサーシャ様になりかわるレベルの実力に、本体が追いついていないのです。」
「本体とかいうな…っ!」