闇に溺れた天使にキスを。
神田くんとの電話が終わり、スマホを耳から離す。
こうして神田くんと電話していただなんて、夢のような話だ。
けれど、確かに私は彼とスマホ越しに話をした。
「……へへ」
思わず頬が緩んでしまう。
今の私の顔、絶対に気持ち悪いだろうな。
自分でも自覚してしまうくらい、彼と電話をしたことが嬉しくて、その場で動けないでいたら───
ガラッと、突然ドアが開く音がして。
途端に嫌な予感がした。
だってその音は、すぐ近くにある空き教室から聞こえてきて───
「……あんた、誰?」
ドクンと、心臓が嫌な音を立てる。
誰かにサボっているところを見られた、よりも。
どうして。
どうして神田くんが鍵を持っているはずの空き教室から人が出てきたのかという、疑問のほうが大きくて。
ゆっくりと顔を上げると、そこには無表情である男の人が立っていた。