闇に溺れた天使にキスを。



階段を降りる時の足音だけが響く中、ついに階段の終わりが見えてきた。


そして地下に着くと、そこは驚くほど静かだった。
騒がしいイメージだったのに。

けれど俯きながらでもわかるほど、人の気配や視線を感じる。


だから無人というわけではない。
恐らく全員が息を止めるように私たちのほうを見ている。


顔を上げて確認すればいいのだけれど、怖くてそれができない。


「佐久間さん、遅くなりました」

その時。
平沢先輩が総長である“佐久間”という名前を出した。


つまりこの地下に、もう総長と呼ばれる人物がいるということで───



「白野さん」

怖くて、不安になって。
涙が止まらないでいたら。


聞き慣れた、穏やかで優しい声が耳に届いてきた。


この声、知っている。
久しぶりに聞いたため、どこか懐かしさも感じられる声。

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