闇に溺れた天使にキスを。
間違えるはずがない。
だって今の声の人物は───
「……っ、かん…だく……」
思わず顔を上げると、そこには私が会いたかった神田くんの姿があった。
間違いない。
ネクタイはしていなかったけれど、いつも通りシャツのボタンを上まできちんととめている、何故か制服姿の彼。
どうして、と考える前に足が動き、私は神田くんの元へと向かう。
「え…白野さん、どうして泣いて……」
さらには神田くんの質問にも答えず、私は勢いよく彼に抱きついた。
怖い、本当に怖かった。
先ほどから震えも涙も止まらなくて、命の危険すら感じていたほどだ。
けれど神田くんがいて、少しだけ不安が取り除かれる。
とはいえ恐怖心はまだ消えておらず、震えて泣きながら彼にしがみつく。
すると彼の手が、私の頭をそっと撫でた。
「……ねぇ、君たちはこの子に何をした?」
私の名前を呼んだ時とは違い、ひどく冷たい声。
地下に流れる空気でさえ、凍てついた気がした。