闇に溺れた天使にキスを。



「ほら、仲間が全員見てるから。
白野さんのかわいさが広まるのは嫌だからね」


そこまで言われてようやくはっとした。

そうだ、今ここはふたりきりじゃない。
つまり周りには人がいる。


恐る恐る周りを見れば、様々な髪色に服を着崩した格好の人たちがみんな、戸惑ったように私たちを見ていた。


途端に恥ずかしくなり、また彼の胸元に顔を埋める。


「ダーメ、そんなかわいいことはふたりきりの時にしてください」

「うう…」

けれど彼は私を剥がしてしまう。
かと思えば、私の腰に手をまわしてきた。


「これなら歩ける?」
「……う、うん…」


腰に手を添えられているため、これなら歩けそうだ。


その状態で歩くのは少し恥ずかしかったけれど、周りにさっきの状態を見られるのよりずっとマシだ。


そして私たちは、階段の反対側へと進んでいく。

ちらっと前を向けば、地下室のちょうど真ん中に長方形型のテーブルを囲うようにして、一つのソファに複数の椅子がセットされていた。

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