闇に溺れた天使にキスを。
確かに足立先輩が言っていた通り、地下はとても綺麗。
錆や埃などとは無縁な場所だった。
全体的に黒っぽく統一されており、薄暗く不穏な場所のようにも思える。
「白野さんは俺の隣に座ったらダメだからね」
ひとつだけあるソファに腰をおろした神田くんに続けて、私も隣に座ろうとしたら。
神田くんにダメと言われ、戸惑ってしまう。
「隣に座っちゃ、ダメなの…?」
「ダメだよ」
「どうして?」
「俺の横には涼雅が座るから」
つまり私の居場所はないということ?
けれど神田くんは楽しそうにニコニコ笑っていて、それが少し引っかかる。
もしかしてわざと言っている?
「……意地悪」
「意地悪なんてしてないよ。白野さんの座る場所は俺の前」
「前…?」
前って、どういうこと?
私は床に座るということなのだろうか。
勝手にそう解釈した私は、彼に背中を向けて床に座ろうとした瞬間。
「……きゃ」
彼の手が私の腰にまわされ、そして引き寄せられる。