闇に溺れた天使にキスを。



涼雅くんの瞳が切なげに揺れる。
今度こそ、苦しく切なそうな表情で。


「でも、今日の拓哉見てびっくりした。あんな自然体でリラックスしてる拓哉、少なくとも俺は初めて見た。

デレたり意地の悪い感じになった姿も全部、俺の知らない拓哉だったな」



すると今度は嬉しそうな表情へと変わり。

コロコロ変わる涼雅くんは、見た目以上に感情表現が豊かな人なのだろう。


「私もびっくりしたよ。
神田くんがまさかあんな意地悪な人だなんて」

「意地悪というか、お前だからいじめたくなるんだろ」
「ひどい…神田くんはそんな人じゃないもん」

「どうだかな。
恋愛は人を変えるってよく聞くけど」


いきなり涼雅くんの口から“恋愛”という言葉が出てきて、驚いてしまう。


「……なんだよ」

「え、いや…あの……どうしてここで恋愛の話するのかなって」

「は?」
「え…?」


驚いたのは私のほうだというのに、今度は涼雅くんが目を見開いた。

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