闇に溺れた天使にキスを。
完全に隠れた涼雅くんの和彫り。
もう目の前の彼は、“銀髪の不良”という見た目へと変わる。
「でも、残念ながら本当。
“神田組”に属してるから」
やけに強調される、“神田組”という言葉。
少し遅れてから、私はあることに気がついた。
「え、神田組って……?」
何故だか緊張して、ドキドキと鼓動が速まる。
心に引っかかる涼雅くんの言葉。
そんなはずないと、頭で否定したけれど。
「……神田組のトップに立つ、組長の息子が拓哉。
ちなみに後継者も拓哉って決まってる」
彼がそれをあっさり認めてしまう。
ドクンと心臓が何度も脈打ち。
一瞬思考が停止してしまった。
だって、彼が、そんな……組のトップを担う、“組長”の息子であり後継者でもある?
「つまり若頭だな。俺は一応若頭の補佐。
んで父親が本部長っていう、俺より上の位やってる」
まだ完全に飲み込めていない中、涼雅くんが話を進めていく。