闇に溺れた天使にキスを。
「でもこれからは気をつけろよ」
かと思えば。
今度は注意される。
「気をつけるって、何を?」
「もう今まで通り平和に暮らせねぇって。お前みたいな女、こっちじゃすぐ標的になって狙われる」
真剣さが涼雅くんから伝わる。
きっと、これは冗談なんかじゃない。
「それは神田くんといる、から…?」
神田くんは只者ではない。
つまり、一緒にいれば危険だということはわかる。
「まあ、それもあるな。残念だけど拓哉は、族としても組としても有名だから」
それはまるで、どちらからも狙われてしまうような言い方で。
暴走族の人たちからも、ヤクザの人たちからも狙われてしまう…?
くらっと、めまいがしそうだった。
途端に命の危険を感じる。
「だからあえて、偽名まで作って存在を隠してんだけどな。“神田組の若頭”だってバレないように」
ここにきて、ようやく偽名を使う理由が涼雅くんの口から説明されたけれど。
話を聞けば聞くほど、神田くんが遠く感じてしまう。