闇に溺れた天使にキスを。




「大丈夫、無理なんてしないよ」
「嘘つき。絶対するもん」

「ほら、そんな風に決めつけない。
俺は白野さんを不安にさせたくないから」



今度は優しく抱き寄せられる。

あっという間に私の体は、彼の腕の中にすっぽり収まった。


久しぶりに抱きしめられた気がして、嬉しくなり私も抱きしめ返す。


「本当にかわいい。
白野さんがいればいつも頑張れる」


「じゃあ、落ち着いたら…一日中甘やかしてくれる?」


思う存分神田くんのそばにいたい。
私が満足するまでずっと甘えてやるんだって。


「もちろんだよ。必ずこの件が落ち着いたら、白野さんを好きなだけ甘やかしてあげるからね」

「ほんと?」


嬉しくて、思わず顔を上げる。

けれど想像以上に神田くんとの距離は近く、動けなくなってしまう私。


神田くんも一瞬目を見張ったかと思うと、私の下唇を指でなぞるように触れてきた。


思わずピクリと反応してしまい、顔が熱くなる。


「……っ、神田く…」
「目を逸らすのはダメだよ」


ここにきて神田くんは、意地悪モードへと切り替わってしまう。


「やだ…宮木さんがいるのに」
「大丈夫。見なかったことにしてくれるから」

「やだよ、恥ずかしい」
「最近白野さんに触れてないから恋しいな」



どうやらキスをする気満々の神田くん。
目を細め、意地悪そうに笑っている。

私の反応を見て楽しんでいるんだ。

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