闇に溺れた天使にキスを。
「優しく、されたい……けど、作っている優しさは嫌だ」
そんなの虚しくなるだけ。
上辺だけ優しく接されても、何も変わらないから。
「だから、神田くんの感情全部ぶつけてくれていいから……本心を聞かせて、神田くんは何考えてるの……苦しいよ、神田くんがいない毎日は寂しい、苦しい、こんなに好きだからっ……辛くて、嫌だよ」
さっきみたいに冷たくされるのは辛いし怖いけれど、あれが今の神田くんなのだ。
「何がいけなかったの…どうして宮橋先生のところに行くの……やだよ、もう神田くんがいないと毎日辛くて生きてけないよ」
お兄ちゃんのことも重なって、誰にも相談することなんてできなくて。
その間にも神田くんとの距離はどんどん遠ざかっていき、余計に苦しさが増す。
「このままの状態が続くなんて無理だよ、辛いよ……限界なの、消えたほうがいい……神田くんと出会わなければ良かった」
一度口を開けば止まらなくて、このままでは本当に取り返しのつかないことになるとわかっているのに。
今の私は自分でも止めることをできない。
終いにはポロポロと涙がこぼれ落ち、拭おうとしたその時、先に神田くんが指で私の涙をそっと拭った。
涙で視界が歪む中、神田くんの顔が近づいてくるのがわかって。
ただ彼の表情はわからないでいると───
「……ん」
そっと、優しく唇を重ねられた。
唇から伝わる温もり。
久しぶりの神田くんとのキスは、本当に優しくて。
まるで私を刺激しないようにするためのキス。
一度だけでは終わらず、角度を変えて何度も繰り返される優しいキスは、私をおかしくさせていく。