闇に溺れた天使にキスを。
「行かなくていいの?」
ふと沙月ちゃんにそう声をかけられ、はっと我に返る。
「うん…!行っても困るだけだろうし…」
「そうかなぁ、私だったら心配されて嬉しいけどな。
それもこんなかわいい天使に」
神田くんもだけれど、沙月ちゃんもよく私にかわいいと言う。
かわいい要素なんてないというのに。
ただ鈍くさくて、おどおどする女なだけ。
自分で思いながら落ち込みつつ、頭の中では神田くんのことでいっぱいになる私。
その気持ちを抑え、沙月ちゃんと日誌を取りに行ったけれど───
気になってしまう。
あの苦しそうに歪めていた表情を思い出してしまえば、不安になるのだ。
「やっぱり、行かないの?」
もう一度、沙月ちゃんに声をかけられる。
きっと私が悩んでいることに気づいたのだろう。
行きやすいような雰囲気にしてくれたのだ。