耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
半分くらい意識が遠ざかりかけたその時、美寧の頭上から低い声が降ってきた。
「こんな所に座って、どうかしたのか?」
声の方を振り仰ごうと頭を回したら、視界も一緒に回った。
「お、おいっ!大丈夫か!?」
焦ったような声が耳に入ったが、美寧は返事することが出来ずその場にうずくまった。
「具合が悪いのか?」
「気分が……」
額にあぶら汗を滲ませながらなんとかそれだけ答えたが、辛くてそれ以上は無理だった。
美寧は苦悶に眉間を寄せたその時、美寧の目の前に大きな背中が現れた。
「乗って。」
背中を差し出した主が言う。
「あの……」
「具合が悪いんだろう?すぐのところにある俺の店で休んでいきなさい。連れて行ってやるから乗るといい。」
「…………」
そう言われたけれど、知らない男性の背中に乗ることなんて出来ない。
黙ったまま動かない美寧に痺れを切らしたのか、その人は背中を差し出した姿勢のまま美寧の方に振り返った。