耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「あの時のカフェオレ、ほんとに美味しかったな。」
「俺が淹れたもんだからな。」
「ふふ、そうですね。」
カウンター越しにクスクスと笑い合う。店内には客はいないから、すっかり休憩モードだ。
「元気になったらいきなり『雇ってください』だもんな。」
「その節はすみませんでした……」
「最初は『給料少なくていい』と言うから驚いたが、確かに“猫の手”になるまで時間が掛かったな。」
目尻を下げながらにやにやと笑われ、美寧は肩を竦ませた。
「大変ご迷惑をおかけしまして……」
「ははっ。まあ、迷惑ではなかったけど、教え甲斐はあったなぁ。」
「…………」
遠い目をしてしみじみと言うマスターに返す言葉もない。