耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー


美寧がラプワールで働くことを決めた翌日。
怜はこの店までついて来たのだ。
彼曰く、『ミネが働くのにふさわしい場所かこの目できちんと確かめます』と。

もうすでに成人している美寧には“保護者”の了承など必要ない。そう言っても怜は納得せず、『どうしても』という彼を押しとどめることは美寧には出来なかった。

マスターを初めて見た時の彼の反応は、今思い出しても不可解だ。

いつも冷静な怜にしては珍しく、眉を上げ明らかにマスターを警戒しているようだった。
妙な緊張感を漂わせている怜に違和感を感じながら、お互いを紹介し合っていた時、ちょうどマスターの奥さんがやってきた。美寧もこの時初めてマスターの奥さんに会ったので、慌てて自己紹介をして、なにやら制服のことなどでひと盛り上がりしたあと、気付くと隣にいる怜がいつもの彼に戻っていた。

なにやらしたり顔のマスターと飄々とした顔の怜の間で、美寧はしばらく頭に疑問符が飛んだままだった。


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