耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「………ユズキの話は本当だったみたいだな」
あまり表情に変化はないが、その声からは “意外だ”という雰囲気が漂っている。
「『フジくんは、ただ今拾った子を大事に溺愛してる』と聞いたときは、子猫か何かのことで、しかもユズキが話を盛っていると思ったが……」
「それでか、貰った紙袋の中にペット用のおやつが入っていたのは……」
「――そういうことだ」
友人同士の会話の下で、美寧は真っ赤な顔を両手で覆って俯いていた。
「それはそうと、突然邪魔してすまないな」
「いや、別に。お互い仕事が忙しいと中々会えないから、こうして久しぶりに会えてよかった。夕飯はあれでいいんだろ?」
「ああ。ありがとな」
「礼はちゃんと出来たらでいい。あれを使うのはずいぶん久しぶりだからな」
美寧はそれまで二人の会話を黙って聞いていたが、ふと気になって顔を上げた。
「れいちゃん……あれ、って何?今日の夕飯なの?」
隣から小首を傾げて見上げてくる美寧に、怜は柔らかく瞳を細めると頷いた。
「今日の夕飯は“たこ焼き”です」