耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
***


ダイニングテーブルの上には卓上カセットコンロやキャベツ、生地になる液が入ったボウルなど、様々な材料がずらりと並んでいる。

「これで出来るの?たこ焼きが?」

穴がたくさん開いた鉄板を眺めながら不思議そうに呟いた美寧に、怜が「そうです」と返事をする。

「たこ焼き作りは初めてですか?」

「うん。……食べるのも初めて」

「そうなんですか?」

驚きを滲ませた怜の声と同時に、はす向かいに座っている高柳が物珍しそうな視線を美寧に向けた。

「たこ焼きを食べたことないのは珍しいな……アレルギーとかだったか?それなら悪かったな、俺がこれにしようと言ったから」

「や、ちがいます…アレルギーとかじゃなくて、ただ……たまたま食べる機会がなかっただけで……」

「そうなのか?学校帰りに友達と食べたりしないのか?」

「え、えっと……」

「ナギと一緒にするなよ?ミネは育ちが良いんだ。買い食いをして帰るような行儀の悪いことはしないんだよ」

言葉に詰まった美寧の隣から、助け舟を出すように怜が割って入った。

「悪かったな、行儀が悪くて。成長期だったんだから仕方ないだろ?部活で動くし、食っても食ってもいつも腹が減ってたんだから」

「だからそんなにでかくなったんだろ」

「フジに言われてもなぁ」

「……ふふっ」
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