耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
やってみると、たこ焼き作りはとても楽しかった。
怜の家で卓上コンロを使うのが初めということもあるけれど、何より美寧がはまったのはたこ焼きを竹串でくるりと回転させること。
最初は全然うまく行かず、焼けかけのたこ焼きをぐちゃぐちゃにしてしまっていたけれど、怜にフォローされながらめげずに何個かチャレンジした結果、少しだけコツを掴めそうになってきた。コツを掴みかけると俄然楽しくなってくる。
たこ焼きが焼き上がるまでの間に、飲み物で乾杯をしようという話になった。
「ビールとワインありがとう、ナギ」
「いや、いつも同じで悪いな」
怜と高柳がお互いのグラスにビールを傾け合ったのは、今どき珍しい瓶ビール。
怜は瓶を持つ手に視線を感じて、隣を振り向いた。
「ミネも飲んでみますか?」
「えっ?」
「気になるなら味見してみますか?」
美寧はアルコールにあまり強くない。成人してからまだ一年と少ししか経っていないのも一因だろう。
美寧が高柳の手土産である瓶ビールへ興味を持ったと思った怜は、彼女の顔を覗き込むように見た。
美寧は怜が手に持った瓶をしばしじっと見つめた後、左右に首を振り「ううん、いい」と断った。
「というか、フジ。未成年に酒を勧めたらダメだろうが」
「ナギ……ミネは成人している」
「えっ!……高校生くらいだと……」
“類は友を呼ぶ”と言うが、あまり表情を変えることのない怜の友人は、珍しく驚いた顔をした。