耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
***


ソファーに座って待っていると、怜がプリンと飲み物を乗せたトレーを運んできた。

怜の囁きに美寧が頷いた後、怜は美寧の耳元から顔を離し、「リビングで食べますか?ここで食べますか?」と訊いてきた。
「リビングに行くよ」と美寧が答えたので、四人でリビングへと移動してきたのだ。



美寧の耳元で囁いた後、普通の距離に戻った怜は『プリンなら食べられますか?』と訊いてきた。
真っ赤になった美寧が首を縦に振ると、怜は後ろを振り向いて、『二人も、一緒にプリンを食べませんか?』と訊ねた。

(“そういうところ”って……)

怜の触れた耳の端が熱く痺れて、そこばかりにいってしまう意識を何とかしようと別のことを考える。

(れいちゃんにはお見通しってこと、よね……?)

自分が『何か食べたい』と言い出した理由。
それは、美寧がそう言い出さなければ怜が『一緒にプリンを食べませんか』と涼香親子を誘うことはない、ということ。そして、それ自体も美寧本人が分かっている、ということも。


『俺の料理を食べられるのはこれからずっとミネだけです。』

ひと月ほど前、怜はそう宣言した。
彼は約束を破ったりしないと、美寧は確信に似た何かを感じている。
昨日高柳がやってきた時にふるまった料理が“たこ焼き”だったのも、美寧との約束を守るためだったのだ。

(私が変なヤキモチ妬いたから……)

お客様に料理をふるまうのに、いちいち美寧の了解を取らなければならないなんて不便だ。
怜が料理好きなことは、一緒に暮らした三か月で美寧もよく分かっている。自分の作ったものを誰かに食べさせることが好きなのも。
自分以外の女性(だれか)にその料理をふるまうのは、やっぱりちょっと嫌だな、と思ってしまう。

けれど、いたく哀しそうな顔で「おなかしゅいたよ~」と言う愛らしい天使を、そのままにしておくことなど出来なかった。


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