耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
荒い息をつきながら、くたりと怜の胸に寄りかかる。
何度してもこのキスには永遠に慣れそうにない。

着けた胸から怜の鼓動を聞きながら、美寧の呼吸が少しずつ整っていく。

瞳を閉じたまま怜の腕の中でその音にうっとりと耳を傾けていると、頭の上から低い声が言った。

「慣れましたか?」

「え、なに?……なれ、?」

顔を上げて訊き返すと、怜が訊き直した。

「“俺の恋人”には、もう慣れましたか?」

「だっ!……だいぶ、んっ」

『だいぶん』と言い終わる前に、美寧の唇を怜が啄んでくる。
丸い瞳を見開いて再び顔を赤くする美寧に、「くくくっ」と楽しげに笑いながら怜が言う。

「すみません。あなたがあんまり可愛いくて」

「………」

赤面した顔を見られるのが嫌でそっぽを向いた美寧。

「ミ~ネ」

顔を覗き込んでくる怜を見ないでいると、こめかみに唇が触れちゅっと音を立てる。

「うにゃっ」

思わず発した声に、またしても怜が「くくっ」と忍び笑いを漏らした。
揶揄(からか)われたと赤く染まった頬を膨らます美寧の横顔に、怜がまた顔を寄せてくる。またキスをされるかと一瞬身構えたが、柔らかなものはどこにも触れない。
ちらりと視線だけを横に向けると、怜が美寧の頭の辺りに顔を寄せて止まっている。
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