耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

あの時の、怜の困ったような微苦笑が脳裏に甦る。

美寧は自分の失態を悟った。
それはきっとパンケーキを独り占めしてしまうことよりも罪深い。

と同時に、ここ数日“夢だったのかも”と思っていたことが、そうではなかったことを悟った。

二重の意味で自分が浅はかだったことに思い到り、美寧の胸に罪悪感がじわじわと湧き上がって来る。

怜の告白に自分はハッキリとは答えていない。
『好き』という言葉どころか、『恋人になる』ということに頷いたかどうかすら、あやふやだった。

「あ、…えっと、その…………ごめんなさい。」

消え入りそうな声で謝ると、するりと髪を撫でられる。

「謝らないで下さい。俺がそれでいいと言ったのですから。」

背中に回された方の手が、あやすように背中をトントンと軽く叩く。
膝の上で抱きしめられているこの状況がとても恥ずかしいのに、服越しに伝わってくる怜の温もりはどこか心地良い。

「でも……」

「―――もう黙って。」

低く甘い声がそう囁いた後、美寧の額に柔らかなものが押し当てられる。

「ぅなっ、」


美寧の驚きの声と同時に、ちゅっという音を立てながら額から離れたそれは、こめかみを経由して頬へと降ってくる。
顔中に何度も落とされる口づけに、美寧は真っ赤になった。
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