耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

なんと言ったらいいのか答えが出ないまま視線を彷徨わせていると、怜の瞳からスーっとさっきまでの熱量が引いて行くのが見えた。

(あっ、私、またっ……)

失敗してしまった、と思った。
怜が明らかに自分の態度に引いたのが分かり、美寧はサーッと青くなる気がした。

「ご、ごめんな「すみません。」」

美寧の言葉に被さるように怜が言った言葉に、美寧は息を止める。

「怖がらせてしまって、すみません。ミネの嫌がることはしないという約束でしたのに……」

見るとさっきまでは大人の色香に溢れていた怜が、今は瞳を伏せ少し項垂れている。
ふぅっと息を吐きながら眉間に皺を寄せて俯いている姿は、ちょっと“叱られた犬”みたいだ。

(犬、といっても和犬というよりは、イギリスの綺麗な猟犬の……)

美寧は怜の姿を見ながら、昔見た犬の種類図鑑を思い出す。

(そうだ!アイリッシュセッタ―!!)

アイリッシュセッタ―は、垂れ耳やお腹の毛がカールしている赤毛の綺麗な大型犬だ。

美寧は、これまで見たことのない怜の項垂れた姿に、胸を高鳴らせながらそんなことを考えていた。
けれど自分のせいで落ち込んでしまった彼に、何か言わなければと口を開く。
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