転生令嬢は小食王子のお食事係
 エマと夕食の相談をしつつ、楽しく下ごしらえを進めていると、先触れにいっていたマリオンが戻ってきた。
 ただ、彼女の様子は出て行くときと違っていた。あまり感情を表に出さないタイプのマリオンが明らかに憤慨している。
「マリオン、大丈夫ですか……? 先触れはできました……?」
「あれを先触れと言ってよいのかどうか……! 一応伝えておきますが、好きにすればいいと言われましたよ!」
 言いながらその時のことを鮮明に思い出したのか、マリオンは目をつり上げる。
 いつも冷静なマリオンには珍しい態度に、私はエマと顔を見合わせる。
「えっと、それは向かっても大丈夫なのかしら……?」
「いいのではないでしょうか。話を聞く限り厨房には使用人が在駐しているわけではないようですし」
「まあ、そうなの!?」
 この規模の館で料理人が在駐しないというのはありえるのだろうか?
 だから第二王子も王子宮で料理を召し上がらないのかしら?
 もしくは召し上がらないから料理人がいない……?
 卵が先か鶏が先か、のような疑問が浮かんでくる。
「とりあえず好きにしてよいのでしたら、一度見に行ってみましょうか」
 こうして、私たち三人は本館の厨房へ向かった。

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