転生令嬢は小食王子のお食事係
 余計なお節介かもしれないが、この使用人は直ちに解雇するべきではないだろうか? 王妃宮の勤勉な使用人たちとは大違いだ。
 不快げに顔をしかめるマリオンも、きっと同じ気持ちなのだろう。
 とはいえ、雇っているのは私じゃないし、それを決めるのはここの主人である第二王子の仕事だ。分かっていて放置しているのか、分からずにいるのかは不明だが、今度顔を合わせる機会があればひと言伝えるくらいはしようと思う。
 いよいよ厨房に足を踏み入れる。
「失礼します」
 マリオンが扉を開けてくれたので、私はひと言添えて足を踏み入れる。
 ただ、入った瞬間その言葉は無意味だと思った。
 なぜなら誰も人がいないのだ。
 今の時間なら夕食の準備をしていてもおかしくない。
 なのに、誰ひとりとしておらず、また誰かが料理しているような気配もなかった。
「本当に誰もいないのね……」
 離れの厨房よりも遙かに広い厨房なのにもったいない。
「料理長がいたら挨拶をと思ってたんですけど……」
 エマも困惑している。
 果たしてこの状態で料理長がいるのかという疑問もある。
 ひとまず厨房の中を歩いてみる。
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