転生令嬢は小食王子のお食事係
 のんきに料理をしていた自分が恥ずかしくなってくる。
 ――というか、これってもしかして女官をクビになるんじゃ……。
 そんな考えが浮かんできて、私はハッとする。
「……王妃様、もしかして暇を出されるんじゃ……」
 女官をやめさせられるなんて、とても大きな汚点になる。結婚してやめる場合は違うが、そうじゃなければ大きな失敗をしたということだからだ。
 そんなことになったら結婚相手探しは困難になる。
 どうしよう……!
 私は混乱していた。
「暇を出すかどうかは、これから決めます」
 王妃様の言葉にドキリとする。これから決めるということは、残れるかもしれないし、やめないといけないかもしれない。
 ハラハラする気持ちに胸を手で押さえていると、王妃はふっと微笑んで口を開いた。
「聞くところによると、これからお菓子を作るのでしょう? わたくしのお茶の時間にそれをもって来なさいな。それを食べて決めましょう」
 王妃様の言葉に私はぽかんとする。
「私が作るお菓子を、ですか?」
「ええ、そうです。それを食べてから決めます」
 そう言うと王妃様は私の横を通り抜け、厨房から出て行く。ふわりと薫る花の香りが花を掠めていった。

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