転生令嬢は小食王子のお食事係
 薪釜で作ってみたい料理が次から次へと頭に浮かぶ。
 ピザ、パイ、タルト、焼き菓子。
 オーブンではちょっと難しいケーキのスポンジもできるかもしれない。
 大きく保温性が高い薪釜は、扱いが大変だけど温度が一定に保たれるため、もちろんパンを焼いてもいい。
「明日が楽しみです……!」
 私は失礼なメイドのことをすっかり忘れ、これから作る料理にただ思いを馳せた。

* * *

「なんなの……!」
 憤りのままにずんずんと廊下を歩く。
 珍しく声が聞こえて覗いたキッチンでの出来事を思うと苛立たしくてたまらない。
 ――もしかしたら王子がいるかもと思ったけど、とんだ別人だったわ!
 なかなか戻ってこない王子と顔を合わせるチャンスを逃すまいとしたのに、無駄な時間だった。
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