転生令嬢は小食王子のお食事係
 差し障りがあるのは私たちもだが、第二王子のためでもあるだろう。
 未婚の男女の貴族が同じ館で生活するのは、外聞が厳しい。王子宮というプライベートな場所でも、いろんな目があるものだ。
 王族のスキャンダルに貴族は敏感だ。それがたとえ事実でなくても、未婚の王子が自分の屋敷に女性を呼んだとなれば人は騒ぐだろう。
 そうならないための予防線を張っておくのは重要なことだ。
 離れに滞在するのであれば、王妃様からの依頼で来たという理由と相まってなんとか言い逃れできそうだ。
 それでもグレーではあるけれど……。
 まあ、それも三ヶ月の間だけ。それを乗り切れば私には厨房を自由に使える権利と優良な結婚相手が待っているのだ!
 馬車の荷物が王子宮の使用人の手で下ろされ、離れの方に運ばれていく。マリオンはまずお部屋を整える必要があるので、荷物の方にそわそわと視線を向けている。
「では、アイリーン様はこちらへ。他の方は離れに案内させますので」
 ノーマンの言葉に私は頷く。
「マリオン、お部屋の方、よろしくお願いしますね」
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