転生令嬢は小食王子のお食事係
「かしこまりました。それではアイリーン様、こちらをお持ちください」
 マリオンから小ぶりなバスケットを渡される。
「ええ、そうね」
 バスケットの中は布巾が掛けられて見えないが、この下にはたくさんのフィナンシェが詰まっている。
 これは昨日、王妃宮の厨房を使う許可を得て作ってきたものだ。
 マドレーヌもいいと思ったが、男性には焦がしバターの風味が効いたフィナンシェの方が喜ばれるかと思いこちらにした。
 残念ながらフィナンシェ特有の金塊のような型がなかったので丸い形になってしまったが、味は変わらずおいしいと思う。味見をした際にエマがそれはもうとろけるような顔をしていたので間違いないだろう。
 三ヶ月という短い期間ではあるが、お世話になるのだから挨拶は大事だ。ほんのささやかではあるけれど、お茶請けにとフィナンシェを差し入れようと考えて、持参したのである。
 それに加え、王妃様から第二王子宛てに手紙も預かってきている。話は通しているが、本人にも直接伝えた方がいいからと、王妃様は言っていた。
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