転生令嬢は小食王子のお食事係
 きっと料理を作っても第二王子の口に入ることはないんだろうなぁ。
 フィナンシェも捨てられるかもしれないけど、持ち帰るのもなんだか癪(しゃく)だし、そちらでいかようにもしてくれという気持ちだ。
 私は笑顔で言葉を述べると、もう一度軽く礼を取って、部屋を出た。

「もうなんなの……!」
 憤りを隠すこともせず、私は荒い足取りでずんずんと廊下を歩く。
 令嬢らしからぬ動きではあるが、幸いそれを目撃する使用人の姿もない。
 嫌なことをされても王子は王子。あんなことをされたのに、こちらはできる限りの礼を尽くした。
 むしろよく頑張ったよ、私……!
 王妃様の頼みとはいえ、第二王子の第一印象は最悪だ。
 だって、執務室で待っていたのを愛妾目当てのメイドと間違うなんて……!!
 ありえないでしょう!
 しかも、後から気づいたけど、第二王子は部屋のドアからではなく、バルコニーのある窓から執務室に入ってきたらしい。服を直している時に、それまで閉じていたはずの窓が開いていたからね。
 そこから静かに入ってきたのだろう。
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