転生令嬢は小食王子のお食事係
 嫌な顔をしつつも、最終的に聞いてくれる部下に僕は指示を出す。
「なるほど。了解しましたよー。……まあ、何にしてもきた女官がまだフリートウッド家の娘でよかったですね」
「そのあたりは母も考えてくれたんだろう」
 母が派遣してきた女官は、アイリーン・フリートウッドと名乗った。フリートウッド伯爵家のご令嬢だ。
 現在のフリートウッド伯爵家の当主は彼女の父親だったはず。
 今の僕の敵ではないが、味方でもない家柄。しかし、フリートウッド伯爵の評判はよく聞く。
 公平で実力主義。とても頭が切れるが、出世欲はあまりない人という評価だ。
 その娘がここに来たというのはチャンスでもある。
 ただ、そのチャンスをすでに棒に振ってしまったかもしれない。
「しくじったな……」
 ただ、それはこれまでの計画にはなかったことだ。万が一できたらいいかなくらいに思っておこう。
「そういえばこれってなんですか?」
 いつの間にかソファでくつろいでいる部下が、テーブルの上に残されたバスケットを指さした。
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