ヒロインvs悪役
春君が指差す方向、つまり私の後ろ。
何かと思って振り向くと
「「………姫!」」
「サナ、ユカ…?」
そこにいたのは息を切らせたサナとユカで。
どうして?
どうしてここにいるの?
どうしてそんなに必死に私の名前を呼んでいるの?
困惑する私の元に走ってきた二人は、私の手をぎゅっと握りしめてきた。強く、強く。
「姫!…ごめん、ごめんねっ、もう一回ちゃんと話そう。…ううん。お願い。私達の話を聞いて!」
「え、」
「姫のこと利用してたつもりはなかったの、
でも、姫優しいからその優しさに甘えてたのは事実だった…!」
サナ。
「私、姫のことちゃんと考えてなかった。
姫なら大丈夫とか酷いこと思ってた。
でも姫がいない生活とか、考えられないの…!」
ユカ。
「「私達には姫が必要なの!」」
サナ、手強く握りすぎだよ。
ユカ、いつも綺麗にセットしてる髪がボサボサだよ。
二人とも、かっこ悪い。
でも、……あったかい。