part-time lover
洗面台の前に立ち、口紅を塗り直そうと鏡を見ると、思っていた以上に顔が赤いことに気づいた。
潤んだ瞳と血色のいい頬、グロッシーな赤いリップを引いたら、自分で言うのもなんだがなかなかに色っぽいなと思った。
楽しく話していると、必要以上にお酒が進んでしまうから恐ろしい。
彼も彼で楽しんでくれているんだろうか。
今日はいつにも増して饒舌だし、少しはしゃいでいるような印象を受けた。
それもそうか。家族のことを気にせずに過ごせる日なんて、年に一度あるかないかだろう。
そのタイミングを一緒に過ごせる嬉しさから、思わず口角が上がってしまう。
酔いの効果も相まって、気分の高ぶりを感じながら軽快な足取りでテーブルへと戻った。