part-time lover
唇と唇がピッタリと吸い付くような感覚。
呼吸のタイミングも、舌の柔らかさも、これを求めていたんだなと思えるくらいベスト。
時折瞳をかすかに開いた時に見える彼の長いまつ毛に心臓が跳ねた。
ただひたすら唇を重ね合わせる作業なのに、いくらでもこの人とならできる気がした。
音を立てて唇を離したあとに、視線を合わせて思わず笑いが溢れた。
潤んだ目を細めてから、私に抱きつく陽さんのことがたまらなく愛しくなって困ってしまう。
今日だけと頭で言い聞かせたところで、理性と感情はどうやらギャップがありそうだ。
少しタバコの匂いが残るシャツに顔を埋めた。
明日以降のことは考えず、今日はこの人に展開を委ねていたい。
何も言わず、視線だけで気持ちを伝えることにした。
「お風呂いこうか」
耳元から潤んだ声が聞こえた。
「はい」
大人しくうなずいて、一度体を離すと彼が立ち上がって手を差し出される。
その手を取って、私も立ち上がった。