終わる世界で、きみと恋の埋葬
お馬鹿なやりとりの最中(さなか)、ときどき耳の奥で水音がして、その度に必死で顔を取り繕う。


ああ、と思った。


嫌な予感がひたひた近づいてくるのを遠くに感じながら、なんでもないような顔を作る。何も言われないということは、多分バレていないはず。


両親は何か音がしたんだろうか。何か予感があって、それでもわたしにいつも通り接してくれてたんだろうか。


「高橋さん林檎好き?」

「え? 好きだけどなんで? もらったの?」

「先生がくれた。家庭科室行って剥こう」

「うん!」


四等分した小さい林檎をうさぎにして、ラップを敷いたお皿にふたつずつのせたところ、あんまりお腹空いてないから、と渡辺くんがひとつこちらに寄越してくれたのだけど。


「え、でもお腹空いたときに食べるとか」

「林檎は傷んじゃうだろ、塩水とか作れないし」

「でも」


言い募ったわたしに、いいから食べなって、と彼が笑った。


「俺のことは気にしなくていい」


そんなわけに行くものか。


「いやだよ、気にさせてよ」

「ええ? ああまあそうか、あれだよな。もうクラスにふたりしかいないんだから、気にするなって方が無理か」

「……ちがうよ」


ぎゅっと唇を噛む。


「きみだから、気になるんだよ」
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