終わる世界で、きみと恋の埋葬
「あすかくんあすかくん、本読んでるところごめんね、今区切りいい?」

「ん、いいよ。なに?」

「絵が! できました!」

「おおお」


見る見る、とこちらに駆け寄ってきて、そうっとキャンパスを覗き込む。


「ど? ど?」


振り仰いだわたしに、あすかくんはきらきらした目で瞬きをした。


「……ちょっと待って俺イケメンじゃね?」

「いやイケメンに描いたんだよ」

「いや元からイケメンなんだよ」

「いやいや」

「いやいやいや」

「いい出来でしょ?」

「すごいいい出来。……ありがとな。大事にしような」

「うん。大事にしようね」


お揃いのものは名前しかない。名前だけでいい。だから、これだけは、これだけは大事にしたい。


これ、ちゃんと大事にするから、とは言わないでくれて嬉しかった。

守れない約束は、できるだけ少ない方がいい。


最近、朝おはようと挨拶をして、内心こっそり今日もおはようって言えたと安堵した後、これをしたね、あれをしたねと思い出を振り返ることが多くなった。

何もかもを忘れないようにすることだけをただ一心に考えていた。


わたしたちはふたりきりで、ふたりぼっちで、それがわたしの救いだった。
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